ストリングス・アレンジ講座 第4回 「ストリングスらしさを出す!②」


プロ直伝!ストリングス・アレンジ講座
〜ポップス(歌もの)にストリングスを入れよう!

講師:小谷野謙一


第4回:”ストリングスらしい”アレンジのコツ②

前回に引き続き、ストリングスに重要な役割を持たせた場合のアレンジについて解説していきます。
今回は、更にもう一歩踏み込んで様々なテクニックを紹介してみようと思います。


★ピチカートで繊細な伴奏を!★

「ピチカート(Pizzicato)」とは、弦楽器を弓で弾くのではなく、
指で弾いて音を出す奏法です。

楽譜では、弦パートの五線の上に「Pizz」と書き込めばピチカート奏法をする指示になります。
(一方で弓による演奏に戻す場合は「Arco」と書き込みます。)


ピチカートによるサウンドは、弓で弾く伸びやかなサウンドとは大きく違い、
「ポン!」と素朴に響きます。

他の楽器で例えるなら、ハープの音に少し似ているかも知れません。
とても繊細な響きがしますが、曲の静かな所でよく使われます。


下図の例では、4パートを組み合わせて演奏する典型的な伴奏を用意しました。
ストリングスが収められた音源、ソフトシンセには必ずといって良い程、
ピチカートの音色が用意されていますので、是非使ってみて下さい。


注意点として、ピチカートの奏法は、弓の奏法に比べて音量が小さいため、他の楽器に埋もれやすくもあります。
比較的曲の静かな所で使う工夫が必要です。


★トレモロを使ってみよう!★

「トレモロ(tremolo)」もストリングスにとって非常に効果的な奏法です。
もともとはイタリア語の「震える」という意味がありますが、
音を小刻みに連打するように演奏する奏法で、演奏の速さや、音の高低で雰囲気が大きく違ってきます。

打ち込みの際は、通常のストリングスのサウンドを連打するように味付けするのではなく、
ソフトに付属されている「トレモロ」のサウンドを使用した方が、遥かに本物に近い効果が得られます。

下図の例では、高い音でのトレモロと低い音でのトレモロの2種類を用意しました。
まず、高い音でのトレモロではあえて低い音域のチェロは無理をさせず、
チェロのパートは休みにしているのがポイントです。



続いて下の例では、低音域のチェロも混ぜたパターンです。



どちらの例もコードを演奏している訳ですが、
高い位置では「さわやかさ」を感じさせる効果を発揮しているのに対して、
低い位置では少し不気味な「怖い感じ」になるのが面白い所です。

今回は、ストリングス音源に用意されている事が多い、「細かく震えるような」

典型的なトレモロを想定しました。

実は、トレモロには色々な奏法があります。
一つ一つの音を数回ずつ弾き、フレーズを強調する様に演奏したり、
隣り合わない2つの高さの音を交互に演奏する奏法(隣り合う音同士では「トリル」という奏法になる)等もありますので、興味のある方は色々と試してみて下さいね。


★シーケンスな伴奏パターン★

最後に、同じ音形を繰り返す「シーケンス的」な伴奏方法をご紹介します。
「シーケンス」とは繰り返すという意味がありますが、伴奏が同じ様な動きを繰り返す事で、
安定感が得られるのが特徴でもあります。

また、コードが変わっても、同じような動きを繰り返す伴奏は、独特の格好よさを生み出します。
このシーケンス的な伴奏は前述のピチカートやトレモロの用に専用の音色を使う必要はありません。

もちろん、このシーケンスな伴奏はピチカートやトレモロの音色でもユニークな効果が得られますが、まずは通常の弓による音色で試してみましょう。

下図の例では、コードが1小節目がF、2小節目がGm7ですが、第一ヴァイオリンは同じフレーズを繰り返しているのが特徴です。


このように、コードが変わっても繰り返すことのできるフレーズを見つけてみましょう。
フレーズがコードの音とぶつかってしまう(不響してしまう)場合は、要所要所でフレーズの音を変えて対処しましょう。

さて如何でしたでしょうか。
ストリングスには様々な奏法があります。それぞれの特性や効果を知れば、
ストリングス・アレンジの可能性は大きく広げる事ができるでしょう。

あなたのアイディアで、様々なチャレンジをしてみて欲しいと思います。

※今回の音楽サプリの内容の特性上、
課題提出はありません。

ただし、ご自身のストリングス・アレンジしたものを
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