私はこうしてプロになりました。杉本敏 編
学生時代〜プロを目指して上京
私が中学、高校時代の頃は、バンドブーム真っただ中の時代でして、
洋楽、邦楽問わずヘビメタ、ハードロック、パンクなど主にバンド・サウンドを沢山聴き,
歌謡曲も沢山聴いていました。そしてバンドに明け暮れる日々を過ごしました。
当時はプロを目指す事も考えず、十九歳でトヨタ自動車に就職するも、
何か面白くなくて、ふと「音楽で飯食えたら面白いだろうな」と思い立ち、
(キッカケはちゃんと覚えてないですがイイ加減だったと記憶しています)
ギターとボストンバックだけ持って上京しました。
誰かの歌詞に出てくる様な事ですがコレ本当なんです(笑)
そして、華々しい東京の生活かと思いきや、
それはそれは地味で、日々の生活に追われアルバイトに明け暮れる日々でした。
そして二十五歳になり、まだアルバイト生活中だった僕は、
殆どの時間をアルバイトに割くしかなく、音楽どころではありませんでした。
「一体、何をしに東京に来たんだ。。?」そう思い悩み続ける中、
きっぱりケジメをつけるために、二十六歳の時に、一年間だけ実家に戻り、
「曲を作れるだけ作って、その曲で勝負してやろう!」
「それでダメなら辞めても良い!」そう決めて
「最後に親のスネかじらせてくれ」と頼み込み帰郷しました。
日本コロムビアにてキャリアスタート
二十六歳も終わる頃、まだインターネットがダイヤルアップで、
今のように情報収集が手軽ではなかった時代。
知人から「日本コロムビアでインディーズ向けに音源をアップロードすると、
リスナーに聴いてもらえるサイトが出来たらしいよ」と聞きました。
「ワラにもすがるような思い・・」ではありませんでしたが、面白そうだったので、
何の気なしに、何曲かアップロードをしてみました。
日本コロムビアでお世話になる事になり、デビューに向けて(コロムビアの)雑用をやりながら、
音楽制作が出来るようになりました。
この頃から、ようやく徐々に音楽を作ってお金をもらえるようになりました。
そして、「自分の作るデモの音をもっと良くしたい」という欲求が出て来た頃、
友人のエンジニアが所属するレコーディング・スタジオで、
セッションのない日に夜な夜な友人にスタジオに呼んでもらい、
見よう見まねで、機材を触らせてもらったり、マイクやケーブル、H.A.を取っ替え引っ替えして、
「鳴き比べ」をして機材の事を学びました。
また、コロムビアのスタジオでも、デモ・レコーディング時には
エンジニアさんに色々聞き学ばせてもらいました。
デビューから一転、フリーになる。
コロムビアでお世話になって1年くらい経ったある日、会社が外資に吸収されるという事で、
(この時に社名がコロムビア・ミュージックエンターテインメントになる)
担当プロデューサー、ディレクターなど周りのスタッフがほぼ皆、退職されてしまいました。。
この時点でコロムビアを離れ、フリーランスで音楽制作を請け負うようになりました。
最初は今思っても本当に路頭に迷う日々でした。
これまでの人脈から、少しずつでも大切に広げて行けるように心掛けて、
依頼された仕事は自信がなかろうが、やった事なかろうが全て「YES!」
受注後に慌てて、、調べて勉強して、、といった感じで。。(笑)
最初は作曲〜編曲、レコーディング〜ミックス、マスタリングのそれぞれが、
個別の案件として依頼を受けるケースが多かったのですが、
徐々に音楽制作における情勢が変わっていく中で、
ドラスティックな予算削減に伴い、
オールインワンで請け負う機会が増えるようになりました。
Gold Rush Studioを設立する
2005年に「着うた」の爆発的なヒットで着うた制作の依頼が増えるようになりました。
(正確には着カバーなのでレコーディングが必須)
当時、東中野に簡易的な防音設備のある仕事場を持っていたのですが、
手狭である事から、「ちゃんと録る場所を探さないとな…」と思っていた所にたまたま
「スタジオがあるけど、誰か借りてやる人いない?」と声を掛けてもらいました。
色々悩みましたがスタジオを見た瞬間に即決しました。
「僕に任せて下さい!」と(笑)
それが、現在私が運営している「Gold Rush Studio」です。
最初は維持費が大変だったり、機材への投資だったり、不安だらけでしたが、
今思えば、そのスタジオが沢山の人と繋げてくれたお蔭もあって、
音楽への情熱を捨てず今に至っているな。。。と。
自分が「してきた」「してる」ように思っているけど、
周りのお蔭で「させてもらってきた」「させてもらっている」事なんだと
改めて感謝しています。
夢だった自分の城(スタジオ)を持つキッカケとなったのも、
当時コロムビアでお世話になったディレクターさんからでした。
杉本敏
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