どんな環境で仕事されているんですか? 田村信二 編
ProTools HD環境に移行したのは?
(マスタード編集者 以降「マ」):田村さんは現在、ProTools HD Native Thunderbolt + HD OMNI のシステムにて、録音・制作をされてますよね。最初からProToolsはHD環境で制作されていたのですか?
(田村信二):元々、ProTools10を使っていましたが、複数のトラックを立ち上げ、複数のプラグインを差すと、シーケンサーが落ちたり止まったりすることが、頻繁にありました。 Omnisphere(Spectrasonic)なんかは特に容量を食うので、積極的に使えない状態だったんです。
そういったストレスを抱えていると、作曲やアレンジに影響を与えるなと、思いきってHDに変えました。
変えてからは落ちることはまずないので、スムーズに作業が出来るようになりましたね。
音質面も、もちろん良くなっていますよ。具体的な数値で比較できないのが残念ですが、少なくとも聴感上の音質はかなりクリアになったと思います。
(左の写真は、上からProTools HD Native Thunderbolt、RolandのINTEGRA-7、ProTools HD OMNI。撮影は田村氏スタジオにて)
(マ):アマチュアやセミプロのクリエーターにとって、「いつかは自分もHD環境で」と思っている方もいるかと思います。そういった読者の方にProTools HDを導入するタイミングに関してアドバイス頂けますでしょうか。
(田村):やはり経済的な部分がありますので、導入するタイミングは人それぞれだと思います。
現在のシステムでスムーズに使えているなら、無理に変える必要はありません。
逆に不満や問題点があるのなら、「どこに問題があり、何をすれば解決できるのか」をよく考えて、ProTools HD に限らず比較検討をして最適なものを購入するのがいいですね。
お勧めのプラグインとハードシンセの用途は?
(マ):続いて、ProTools上で使用されているプラグインに関してですが、主にどういったものを、お使いでしょう?お勧めのプラグインをご紹介頂けますでしょうか。
(田村):使っているのは沢山ありますよ。ProToolsに元々入っているコンプやEQもよく使っていますが、やはりwavesです。 Linear Phase Multiband Compressor(左写真)というマルチバンドのコンプです。トータルに音圧アップ用に使います。Basic Multiなど、プリセットされているセッティングもよく出来ているので使っていますね。 あとは、VocalRider、BassRider、トータルにS1Imagerあたりもよく使いますね。
(マ):ところでシンセに関してなのですが、お使いのソフト音源とは別にRolandのINTEGRA-7をお使いですよね。近年、すっかりソフトシンセに押されっぱなしのハード音源ですが、INTEGRA-7を導入されたキッカケは何でしたでしょうか?
(田村):ソフト音源を使う前に、SC88やJV2080(ボード含め)など、Rolandの音をよく使っていたのですが、INTEGRA-7は今までのほとんどの、Rolandの音源が入っているので使いたくなりました。
とは言え、やはりソフト音源との共存等、システム的にあまりスムーズにいけていないのが、現状です。
安いマイクでもしっかり録れます!
(マ):ご自身のスタジオではレコーディングもされてますが、マイクは主に何をお使いですか?
(田村):NUEMANNのU87 AiとBlueのBaby Bottleです。
U87Aiは色々なスタジオで使われていたのがきっかで、他の方の使用感を聴いて「間違いない」と思い購入しました。音質もクリアだし、安定して録れるマイクだと思います。一方でBlueのマイクは見た目で買いました。
今はBaby Bottleですが、以前は、Bluebird、やSparkという、いずれも3万円以下のマイクですがよく使っていましたね。この値段でも中域や低域がしっかり録れるんですよ。安価でビジュアルが気に入れば、おススメです。
(マ):最後に田村さんにとって、「火事になったらこれ持って逃げる!」みたいな、今最も愛着がある大切な機材をご紹介頂けますか?ギターでもソフトウェアでも何でも結構です。
(田村):愛着があるというか、、一番良く使っていてしっくりいくのが、今はProTools自体ですね。
デフォルトでインストールされているXpand!2というソフト音源やWGコンプなどの、プラグインも軽くて気に入っています。
田村氏がこれまで手がけた楽曲は、こちらから見られます。