ストリングス・アレンジ講座 第2回 「バッキング」
プロ直伝!ストリングス・アレンジ講座
〜ポップス(歌もの)にストリングスを入れよう!〜
講師:小谷野謙一
第2回:バッキング〜バンドサウンドの中で使ってみよう!〜
ストリングスは、バンドサウンド(4リズム)の中でもよく使われます。
4リズムとは、ドラム、ベース、ギター、キーボードの4パートによる、
一般的なバンド編成です。
そこにストリングスが加わる事で、独特な華やかさや、繊細なサウンドが加わります!
現在では、4リズム+ストリングスの編成は非常に一般的で良く耳にします。
今回は最もオーソドックスな使用方法である、
バッキングを使った実践例をご説明しますので、
是非皆さんもチャレンジしてみましょう!
★白玉バッキング★
ストリングスのバッキングの基本であり、
王道の一つでもあるのがこの「白玉系」のバッキングです。
白玉とは、白抜きの音符(2分音符や全音符)から来た言葉で、
持続的に伸ばした音でコードを演奏するバッキング奏法です。
持続するコードは、ハーモニーをしっかりと感じさせながら、
サウンドに広がり感も演出し、動きのある他の4リズムのパートの邪魔をしないのが特徴です。
前回の第1回でもご説明しましたが、クローズドボイシング(密集配置)では、
サウンドにエネルギー感や充実感のある響きを感じさせます。
一方でオープンボイシング(解離配置)では、バンドサウンドに広がり感のある、
開放的な響きを生み出します。
★リズムを付けて刻む!★
ストリングスによるコードバッキングも、リムズを付けて連打すると、
印象が随分と一変します。
白玉でのバッキングで得られた充実感や広がり感は薄まりますが、
連打する事で白玉では得られなかった、
「曲のリムズとの一体感」や「歯切れの良さ」を演出する事ができます。
ここで大切になるのはこの2つです。
①曲調にあったリズムで連打する事
②音の長さのメリハリをしっかりつける事
第1のポイントですが、
曲調に合わせて色々なパターンを試し、
しっくり来るリズムを見つけると良いでしょう。
もちろん、お気に入りの曲のリズムをピックアップするのも手です。
第2のポイントですが、
長く伸ばしたい音と、短く歯切れよくしたい音をしっかり把握し、
打ち込みの際は、デュレーション(音の長さ)にメリハリを付けるのがコツです。
また、曲調にもよりますが、アクセントを付ける部分のベロシティ(音の強さ)を
しっかりと強めにする事で、いきいきとしたフレーズ感を生み出せます。
★躍動感を生み出す「リフ」★
コードによる連打をもう少し進化させて、
周期的な動きを付ける方法があります。
これはギターによるバッキングなどでもよく見られる手法ですが、
バッキングに周期的な動きを持たせたフレーズを「リフ」と呼びます。
リフによるバッキングは、コード感をしっかり支えるものから、
パワーコード(3rd音抜きの和音)によるソリッドなものまで様々です。
下の譜例には、コード感をしっかり支えるタイプのリフを用意しました。
一方、パワーコード系のリフといえば、
ディープパープルの「Smoke on The Water」のイントロのギターフレーズや、
マイケル・ジャクソンの「It's Bad」のイントロフレーズが有名です。
これらはストリングスによるバッキングでありませんが、
このようなフレーズをストリングスで演奏するのも、とても効果的です。
今回はバンドサウンドの中の1部分としてのストリングのアレンジ方法の
ご紹介でしたが、
次回は、ストリングスがメインになるアレンジ方法について、
解説していきたいと思います。お楽しみに!
今回の音楽サプリの内容の特性上、
課題提出はありません。
ただし、ご自身のストリングス・アレンジしたものを
著者にてんさく依頼する事は可能ですので、
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