ストリングス・アレンジ講座 第6回 「高い音域に挑戦!」
プロ直伝!ストリングス・アレンジ講座
〜ポップス(歌もの)にストリングスを入れよう!〜
講師:小谷野謙一
第6回:高い音域に挑戦しよう!
今回のテーマは「高い音域」です。
普段、ストリングスをアレンジする際、
同じような音域ばかり使ってはいませんか?
もし、心当たりがありましたら、
今回の講座を通して、
高音域の魅力を感じて頂けると思います。
★高い音域は音色が違う!★
ストリングス(ヴァイオリン属)の楽器は、
音の高さによって、音色が変わります。
これは、太さの違う4本の弦を、
音の高さによって使い分けている為です。
ある程度、
高音質のストリングス音源をお持ちでしてら、
この点は再現されています。
低い音を担当するのは太い弦で、
マイルドで豊かな響きを持っています。
細い弦ほど「高い音域」を担当し、
一番細い弦は、煌びやかでキレの良い響き
を持っています。
今回テーマの「高い音域」は、
明らかに「違う音色になった」と感じる程、
明確な音色の違いが感じられると思います。
上の画像はヴァイオリンとチェロの音域です。
(最高音は、演奏者によっては、もっと高い音が出せる場合があります。)
通常の記譜では、
ヴァイオリンはト音記号、
チェロはへ音記号の五線を用います。
しかし、
この五線を超えた高い音域(矢印で表した音域)こそ、
煌びやかで魅力的な音色なのです!
それぞれ上の方の音域は、
下の方との音とは全く違った、
音色のキャラクターを持っています。
ヴァイオリンは、
繊細でキレが良く、
「触ったら怪我をしそう」と感じるくらい、
デリケートなサウンドです。
一方のチェロは、
ヴァイオリン程の鋭さは感じないものの、
テノール歌手が高い声を出しているような、
「独特の緊張感」があります。
特に主旋律や、
裏メロと言われる対旋律では
その魅力を味わう事ができるでしょう。
★コードでも使ってみよう!★
「高音域で音色が変わる」という特徴は、
伴奏系(バッキング)でも効果的です。
特に和音(コード)での持続音は、
高め音で演奏する事で、
全体のサウンドの中で「ヌケ」が良くなり、
非常に引き立ちます。
上の譜面の左側のように、
通常、バッキングのコードは、
ト音記号の五線の中に入る範囲で鳴らす事が多いと思います。
確かにこのようにすれば、
安定して落ち着いた響きが得られます。
しかし、
オケの中での存在感という視点では、
地味な響きに感じられるでしょう。
ここで思い切って、譜面右側のように、
その1オクターブ上で鳴らしてみると、
非常に存在感があり、
「ヌケの良いサウンド」になります。
特にストリングスのサウンドを目立たせたい場合は、
音量やベロシティ(弾く強さ)を上げたり、EQで加工するより、
1オクターブ上げた方がはるかに高い効果が得られるでしょう。
今回レクチャーした、
高い音域をあえて使う「味付け」は、
曲調やアレンジの狙いによっても、
大きく左右されますが、
「煌びやかなコード感」や、
「ヌケの良いサウンド」を狙うなら、
是非とも試して欲しい手の一つです。
※今回の音楽サプリは内容の特性上、
課題の提示はありませんが、マスタード有料会員の方は、
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