ストリングス・アレンジ講座 第7回 「ユニゾンを使おう!」
プロ直伝!ストリングス・アレンジ講座
〜ポップス(歌もの)にストリングスを入れよう!〜
講師:小谷野謙一
第7回:ユニゾンを使おう!
★ユニゾンとは?★
ストリングス・セクションには通常、4つのパートがあります。
4つもあると、ついつい「それぞれ違った音を割り当てて、ハーモニーを作らなくてはいけない」と思いがちです。
しかし、決してそのようなことはありません。
例えば、
・全パートで同じフレーズを弾く。
・1t.ヴァイオリンと2nd.ヴァイオリンが同じフレーズを弾く等々・・
違うパート同士が同じラインを担当する事もよくあります。
このように、
複数のパートや奏者が同じラインを担当する事を、
「ユニゾン」と呼びます。
尚、オクターブ違いのラインを演奏する事を、
「オクターブのユニゾン」と呼ぶ事もあります。
因みに、この奏法は、
コード感を生み出す事は出来ませんので、
コード感は他の楽器に担当してもらいます。
今回は様々なユニゾンのパターンや、
その狙いについて説明していきます。
★全パート同じラインを弾く★
下図のように、
フレーズを全4パートによる「ユニゾン」で演奏すると、
そのラインは太く、力強く感じられます。
これは、重要なメロディや対旋律、
力強く聴かせたいリフなどに、
是非とも使いたいテクニックです。
全パートによるユニゾンにも、
様々な鳴らし方があります。
上図の左側のように、
同じ音域、または1オクターブ程度の幅での
「狭い音域でのユニゾン」では、
強いエネルギー感や一体感が得られます。
逆に、上図右側のように、
全てのパートをオクターブ違いで積み上げた、
「広い音域でのユニゾン」では、
スケール感の大きなサウンドが得られます。
★部分的にユニゾンを使う!★
ストリングスの4パートのうち、
任意の組み合わせでユニゾンを使う方法もあります。
例えば、下図の左側のように、
4パートのうち2パートをユニゾンにすると、
力強いラインを得つつも、
残りの2パートは伴奏を担当する事ができます。
また、上図右側のように、
2パートずつをユニゾンにすると、
太い2つのラインが作り出せます。
組み合わせは、
「1st.Vn&2nd.Vn 対 Vla&Vc」、
「1st.Vn&Vla 対 2nd.Vn&Vc」、
「1st.Vn&Vc対 2nd.Vn&Vla」などなど、
いろんな工夫ができます。
これ以外にも、
3パートをユニゾンにすると、
「3パートによる太いラインと、自由な1パート」という組み合わせになります。
例えば、
1st,ヴァイオリンだけがユニゾンに参加しなければ、
広域でのパートとして活躍ができます。
また、チェロがユニゾンに参加しなければ、
チェロが低域をサポートするパートとして使う事ができます。
もちろん、
ヴィオラだけを自由にしておくというような、
ユニークな使い方だってできます。
このように、ユニゾンは、
曲調やアレンジの狙いによって、
様々な形で活かす事ができるテクニックなのです。
是非いろいろな方法を試してみて下さい。
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