ストリングス・アレンジ講座 第8回 「戦略的な使い方」
プロ直伝!ストリングス・アレンジ講座
〜ポップス(歌もの)にストリングスを入れよう!〜
講師:小谷野謙一
第8回:戦略的な使い方
”ストリングス講座2ndシーズン”も最終回になりました。
今回は「まとめ」として、
歌もの曲でストリングスを使う場合の、
「戦略的な使い方」をテーマにしていきます。
★「使わない場所」を意識する★
ストリングスは、アレンジにおいて非常に魅力的な楽器です。
しかし「1曲を通して登場しっぱなし」では、
必ずしも効果的な使い方とは言えません。
なぜなら、
ストリングスが登場しない所があるからこそ、
逆に登場する所が鮮明に浮き立って、
アレンジとしての効果を高めるからなのです。
では具体的に、
「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」
という流れを仮定して、
ストリングスの登場のさせ方の例を紹介してみましょう。
<イントロ>
ストリングスを使ってイメージを盛り上げる
↓
<Aメロ>
ストリングスは使わず、シンプルに楽曲を聴かせる。
↓
<Bメロ>
ストリングスを徐々に登場させ、
サビに向かって少しずつ盛り上げていく。
↓
<サビ>
ストリングスを大々的に登場させ、
曲の山場を作る。
このように、
あえてストリングスを登場させないセクションを作ることで、
曲にドラマチックな流れを生み出しました。
ストリングスを抜く箇所は、
曲の構成や曲調によって、様々なアイディアがあります。
ご自身でアレンジをする際は、
是非とも「抜く箇所」を意識してみてください。
★セクション毎に奏法や音域を意識する★
歌もの曲では、
よくあるツーハーフ(A→B→サビが2回繰り返されて、最後にサビが登場)のように、
セクションが繰り返されます。
そのため、
1コーラス目と2コーラス目を同じにしてしまうと、
曲の流れが平坦な印象になる場合があります。
そこで、複数登場するセクションは、
「1回目と2回目でアレンジを変えてみる」
という作戦を立ててみましょう。
例えば、
1コーラス目のAメロでは「ピチカート」で演奏し、
2コーラス目では「アルコ(弓での演奏)」にするなどは、とても効果的です。
また、奏法の変化だけでなく、
音域に変化を付けるのも有効的です。
例えば、
1コーラス目では「低い音域」で力強くバッキングをするのに対して、
2コーラス目では「高い音域」で煌びやかにカウンターを演奏する等、
アイディは幾らでも出せるでしょう。
ただし、
セクションや曲調によっては、
あえてアレンジを変えない方が良い場合もあります。
臨機応変に曲の流れをイメージし、
作戦を練ってください。
ストリングス・アレンジには、
様々な可能性がある事が解って頂けたと思います。
皆さんも是非、
様々なアイディアでアプローチしてみて下さい!
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