新作詞講座④〜追っかけメロの作詞〜
プロが教える!新作詞講座 第4回
”追っかけメロの作詞のしかた”
講師:高瀬愛虹
追っかけメロとは、下記の「例題譜面」のような、
2つ以上のパートが分かれていて、
最初に歌われたメロディを、別のパートが同じようなメロディで、
追いかけるメロディパターンのことを言います。
細かく複雑にパートが入り組むこともあるので、
難しいと感じる方もいますが、
どこに気をつければ上達するか?をレクチャーしていきます。
【例題譜面】
追っかけをするのは誰なのか?
例題譜面で説明しますと、
ソロ曲として、「パートA」と「パートB」を一人で歌う場合と、
デュオ曲として、「パートA」をAさんが歌い、
「パートB」をBさんが歌うという2パターンがあります。
ソロ曲の場合は、
ライブで披露する際に、
追っかけメロはその場では歌わず、
録音した歌を流す事があります。
または、ファンの方が追っかけメロを歌ってくれる場合もあります。
まずは、「何人で歌う曲なのか?」
を確認しましょう。
同じ言葉を繰り返す
例:たのしく(たのしく)あそぼう(あそぼう)
( )が『パートB』が歌う箇所になります。
追っかけパートは、
どこが追っかけパートかわかるように、
歌詞カードでは分かりやすく表記します。
このように、同じ言葉を繰り返す長所は、
耳で聞いた時の分かりやすさが挙げられます。
ライブの際も追っかけの箇所は、
ファンの人が真似しやすいので、
盛り上げのポイントになります。
一方で、それぞれ別々の言葉を入れる方法もあります。
例:明日の(今ごろ)二人は(さよなら)
「明日の今ごろ二人はさよなら」という1つのフレーズを
メロディに合わせて、分けて乗せるパターンです。
言いたいことを分ける
例:ありがとう(大好き)伝えたい(伝えたい)
「ありとうと大好きを伝えたい」という歌詞において、
伝えたい2つのことを1パートに1ワードずつ歌わせるパターンです。
例:春にも(夏にも)秋にも(冬にも)
【パートA】と【パートB】で、
同じようなメロディが4回繰り返されることを活かして、
「春にも」「夏にも」「秋にも」「冬にも」というように、
歌詞を乗せるパターンです。
どちらも追っかけメロであることや、
メロディの特徴を活かしていて、
仮に、複雑に入り組む追っかけメロであったとしても、
合わせて聞いた時に分かりやすいのが特徴です。
視点の違いを利用する
例1:さよなら(好きだと)言えたら(言えたら)
例2:キミから(ボクから)聞けたら(言わせて)
デュオ曲の場合、
AさんとBさんで想っていることが違う時があります。
例1ではAさん「さよなら言えたら」に対し、
Bさん「好きだと言えたら」
例2ではAさん「キミから聞けたら」に対し、
Bさん「ボクから言わせて」というように、
それぞれの視点では別の想いを歌っています。
このように追っかけメロは、
パートごとに歌う人に合わせて作詞する必要があります。
想いを抱いている事が異なる設定のデュオの場合は、
特に気をつけましょう。
同じ事を言う場合でも、このようにパートを分けると、
下記のようにパート視点で見ると可笑しなことになってしまいます。
NG例1:さよなら(言えたら)好きだと(言えたら)
NG例2:キミから(聞けたら)ボクから(言わせて)
本音を追っかけで歌う
例:知らない(ホントは)嫌いだ(大好き)
【パートA】で表面上の気持ちを、
【パートB】で本音を歌詞にしたパターンです。
こちらもパートが分かれるという、
追っかけメロの特徴をうまく活用しています。
NGポイント
例:空を見(上げると)溢れ出(す涙)
上の例は少し極端ですが、
仮に語呂が良かったとしても、
言葉がバラバラにならないように気をつけましょう。
メロディごとに意味が通じるように、
妥協せずきっちりと乗せましょう。
今回の課題
デュオ曲を想定して、
課題曲に合わせて作詞をしてください。
追っかけメロになるところは、
今回レクチャーしたポイントを押さえて作詞しましょう。
Aさんパートはフルートの音(少し左側から鳴ります)
Bさんパートはシンセサイザーの音(少し右側から鳴ります)にしています。
Aメロは、AさんとBさんのそれぞれソロ。
Bメロは、AさんとBさんの追っかけメロ(BさんがAさんを追っかける形)
サビは、AさんとBさんが二人で一緒に歌う構成になっています。
提出の際は、追っかけのパートは( )で括ってください。
※課題曲の著作権は全てマスタードに帰属します。
課題提出の目的以外での楽曲の無断転用を禁じます。
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